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執筆者の写真MZM

『フォビア』


皆さん、こんにちは。

あちこちで落ち葉を見るたびに焼き芋が食べたくなる副会長です。

さて、YPSは精神障害者と楽しく盛り上がりたい好事家の集まりなので、

たまには精神医学的な話もしましょう。

『フォビア』です。

知ってるよーチョウザメの…それはキャビア。

聞き馴染みのない言葉かもしれませんが意外と多いんですよ。フォビアの方。

この『フォビア』というのは

『恐怖症』のことです。

ほら、ほらほら当てはまった人いるんじゃないですか?

高所恐怖症、閉所恐怖症、先端恐怖症…

実に豊富です。ものすごい数があるので今日もどこかで新たな恐怖症が生まれているかもしれません。

実はこの恐怖症というのは精神医学上は不安障害に分類されているので、

精神疾患なんです。

アメリカの精神医学界が定めた精神疾患を診断する基準として使われているDSMにも世界保健機関(WHO)が疾患について統計を取っているICDにも記載されています。

ただ日常生活において甚大な障害にならないことが多いので精神疾患という印象が無いに等しいと思います。

高所恐怖症だったら最初から高いところに行かなければいいし、

閉所恐怖症なら狭いところに行かなければいい。

それだけの話ですからね。

と、思えるのは恐怖症じゃない方です。

例えばです。

飛行機恐怖症の八兵衛さんがいたとします。

どうしても仕事でパリに行かなければならなくなったとします。

ざっと13時間はかかります。

これはもう拷問です。

なぜか?

恐怖症だからですよ。

程度にもよりますが飛行機を見るのも怖いという方もいます。

それに半日、乗ってなけりゃならない。

どうするか。仕事辞めます。

そんな極端なと思われると思いますが、

恐怖症というのは理屈ではないので

どうにもならないのです。

脂汗が出る、震えが出る、体が硬直してくる、呼吸が苦しくなる、パニック発作を起こす。パニック障害になる場合もあります。

一応、聞きます。

半日、八兵衛さんはこの状態で耐えられると思いますか?

私は飛行機がパリに到着すらできないと思います。

乗客が深刻なパニック発作を起こしていたら安全のために近くの空港に降りてしまうと思います。

そして八兵衛さんは入院になるんじゃないかと思います。

たぶん貴方が感じている恐怖症というのは『高いとこダメー』とか言い放って隣のイケメンにしがみつくまぁ遠目で薄目に見ると可愛らしい女性の姿。

つーかオメー彼氏といちゃつきてーだけだべ。

という構図ではないかと。

違うんです。

高いところに行くと足がスースーする程度なら問題はないのですが、

恐怖症の人は上に書いたとおり脂汗が出たり呼吸が困難になったり体が硬直したりとかなり深刻な事態に陥ります。

つまり八兵衛さんはパリまで陸路か海路で行くしかなかったのです。

いわゆる常識では考えられない方法ですが八兵衛さんをパリに連れて行くなら

他に方法はないのです。

だから辞めちゃうんです。

私が小学生の頃だったかな

『アラクノフォビア』という映画が公開されました。(1990年でした)

この『アラクノフォビア』というのは

『蜘蛛恐怖症』のことです。

内容は割愛しますが平たく言えば新種の殺人蜘蛛を蜘蛛恐怖症の医者だったかな、なんか頑張って解決します。

映画の題材になるくらいなのでフォビアって知らない人からすると理解できないものなんだろうなと思います。

あ、私は蜘蛛は大丈夫。というか好きです。ネックレスにも指輪にもカフスボタンにも蜘蛛をモチーフにしたものを付けてます。

私のオカンがカエル恐怖症でして。

一度、頭の上にアマガエルが落ちてきたときの狂乱は尋常ではなかったです。

わりと動じない人なので呆気にとられました。

さて、今回は『フォビア』

恐怖症についてお話しました。

最後に私のフォビアを記してお別れの挨拶とさせていただきます。

私はアレがダメ。黒いアレですよ。

台所とかさー出るでしょ、アレ。

そうだよゴキですよ。

名前出すのも嫌なんだから。

先日、主治医からはっきり言われました。

『フォビアだね。』

また疾患増えちゃった。やだね。

しかし実際、出くわすと大惨事が起きる。

何となく110番しちゃった人の気持ちもすこーしだけ分かる。(しちゃダメよ)

まず実物がいる。いるけど直視できない。飛んでくるんじゃないかと考えると距離を置くしかない。

しかし確実に部屋にいる。

頼みの綱の殺虫剤がなんの嫌がらせか、

実物の近くにある。

もうダメ。脂汗が背中を流れ息苦しくなり頭の中が全面的にどうしようで埋め尽くされる。

でも見逃したら今度はいつどこに出てくるのか怯え続けることになる。

喉がカラッカラに乾いて泣きたくなる。

動機が激しくなって体が震えだす。

せめて殺虫剤があれば乾坤一擲なのだが…

結局、遠目にモニタリングして妻の帰還を待つ。で処理してもらう。

『情けねぇ旦那だなぁ』とか思います?

でもムカデや蜘蛛は大丈夫っす、自分。

アレだけが本当にダメ。

ダメじゃなくて無理。ある意味では致死なのかもしれない。凄まじいストレスだし、1週間くらいは怯えてますからね。

ごみ捨て場に持って行ったらどえらいことになっていたのが原因で私はごみ捨てがダメになりました。

先日、仕事してまして。

出たんですよ目と鼻の先に。

狭い部屋で。

だから上司に相談したんです。

『もう出るもんだと思っといてください。出ます。良くでます。』

…それ以来、毎日怯えてます。

早く転職先を探したほうが良いなと思った日でした。

たかが恐怖症。

されど恐怖症。

分からない人には全く理解を得られないという悲しい話です。

副会長 フォビア野間

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