YPSホームページをご覧の皆さま、こんにちは。
すっかり桜が満開になり…と思っていたらもう散り始めていますね。
思い切り満開の桜を見逃したお馴染み副会長です。
さて、私が暮らしている街からは天気が良いと富士山が見えます。
冬の朝は雪冠の清々しい姿を。夕焼け時には雄大な赤富士を見ることができ、
その姿を見ると「うむ、今日も頑張った。特に何もしていないが頑張った。」
というような気持ちにしてもらえます。
というのは私、富士山の頂上に立ったことがあるからです。
かれこれ四半世紀前のお話です。
当時、私はボーイスカウトに入団していました。
ボーイスカウトとはなんぞや?という方のために軽く説明をすると、
イギリス人のベーデン・パウエルという人が青少年の健全なる肉体と精神を育むために、
戦場で少年斥候兵を起源とした活動がもとになっています。
OB同士ではミニ軍隊などと言ったりもするくらいで、
昨今のグランピングだとか見ると「おととい来やがれ!」と言いたくなるくらいハードなものでした。
キャンプ一つとってもテントは自衛隊が使うようなカーキの8人用。
食事はかまどづくりからという娯楽性ゼロ。
日常ではロープ結びを学んだり地図を見るのではなくて読む勉強などなど。
え?なぜ読むのかって?
それはあなた、等高線や三角点、地図記号から現地での地形や目印などを探さなければならないからです。
地図上では最短距離でも等高線を見たら密度が高い=急勾配、つまり崖だったりするからです。
例えばA地点からB地点に行く時、南南東に高圧線ありといった見知らぬ道なき道を進むためには地図を読み解く勉強が必要になるわけです。
ま、基本的には登山ルートやハイキングルートを通りますけどね。
万が一、迷った時に迷わない訓練とでも言いますか、自己責任を果たすということです。
そのために食用になる野草、怪我の応急措置といった様々な知識を日々、学んでおいてから
夏休みや大型連休にキャンプやハイキングに行くわけです。
ちなみに街のごみ拾いやUNICEFの募金活動といった奉仕活動も行っています。
おそらくどこかで一度は見かけていると思いますよ。
カーキの制服に緑のベレーをかぶって首にチーフをつけている集団を。
彼等がボーイスカウトです。
余談ついでに言っておくとボーイスカウトと言ってはいますが女性でも参加できます。
でもガールスカウトに男性は参加できませんので悪しからず。
はい、説明終わり。
前置きの長さは相変わらずですねーそだねーっと。
さて、そんな私のボーイスカウト生活で最も印象深く、貴重な経験となっているのが富士山頭頂でした。
一般的な富士山の登山方法はいくつかある登山道から早朝に出発し、
日暮れとともに山小屋で一泊。
そして御来光のタイミングに合わせて出発することが多いですね。
しかーし!
我らボーイスカウトは娯楽でも趣味でもなく訓練で登るのです。
出発は21時。そう、寝ないで登って寝ないで下山するという弾丸登山。
ちょっとどうかしてるんじゃねぇかと言いたくなる気持ちをぐぐっとこらえての登山です。
なぜなら訓練だから。
今だったら確実に下山後に数日は寝込むであろう強行軍。
そして当時の私は今以上に虚弱。
登り始めて1時間もすると所属していた隊から遅れに遅れひとりぼっち…。
富士山の救いどころとしては一本道なので迷いようがないことと、
見知らぬ人でも誰かしら近くにいることでしょう。
でなければ八甲田山に迷い込んだ帝国陸軍のように行き倒れ…は大げさですが、
少なくとも迷う心配がないというのは一つの担保にはなっていました。
とはいえ14歳の少年が仲間から取り残され真っ暗な登山道を歩くのは心細かったですね。
当日は日本のあちこちからボーイスカウトが集まっていたので100人以上がずらーっと行軍…もとい登っていたのでガヤガヤはしていて、山小屋のオバチャンに至っては
「こんな真夜中に大勢で歩くんじゃない!うるさいだろ!」と怒り出す始末。
しかーし!
例え周りに人がいようとも親しき仲間がいないのは孤独同然。
顔を上げると遠くに山小屋の灯りが見えるものの、なかなか近づいてこない。
「も、もしやあれが水木しげるの本に出ていた狐火なる妖怪か?!」
などと下らないことを考えていないと精神的に辛い。
そして余計なことを考えるせいでますます足取りは重くなり…
「これは水木しげるの本に出ていたすねこすり…(以下略)」
で、まぁ要するに5合目から登ったのに6合目で止まってしまったのです。
しかーし!
引き返したところでキャンプサイトに戻れるわけではないので途方に暮れてしまったわけです。
そんな時に私のことを見つけてくれたのが高校生チーム(シニアスカウト)の隊長をしていた親友のお父さん。
いなくなった私を探しに戻ってきてくれたのでした。
これがまさに地獄で仏です。
何しろお仕事が海上保安官ということもあって頑強。
それでいて優しいという、由緒正しい海の男ここにありってな人でしたので一緒に歩調を合わせて登ってくれたのです。
そこからは少し歩いては3分休みを繰り返し、ゆっくりと登っていきました。
そして気づけば妖怪扱いしていた7合目の明かりが灯る山小屋に到着。
頂上での御来光はこの時点で時間的に無理でしたが、
歩いていれば近づくものと分かるだけで足は自然と前に出ました。
しかーし!
…と長くなってしまったので後編へ続く!
果たして七合目を過ぎた副会長に襲ってきたものとは…
つづく
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